急性扁桃炎(溶連菌感染症)

つばを飲み込むのもつらい喉の痛みは、日常生活やお食事に大きな支障をきたし、とても不快なものです。当院では、患者さんのつらい症状を少しでも早く和らげるとともに、最新のガイドラインに基づいた「必要かつ十分な治療」を提供しております。

ここでは、のどの痛みが生じる「急性咽頭・扁桃炎」の原因と、ガイドラインに基づいた治療方針について分かりやすくご説明します。


急性咽頭・扁桃炎とは?

「急性咽頭・扁桃炎」とは、のどの痛みを主な症状とし、のど(咽頭)や扁桃に急性の炎症が起きている状態を指します 。のどの粘膜の炎症が強い場合には「急性咽頭炎」、口蓋扁桃の炎症が強い場合には「急性扁桃炎」と区別することもありますが、しばしば両方の領域に炎症が及びます

主な原因:ウイルスか?細菌か?

のどの痛みの治療において最も重要なのは、原因が「ウイルス」なのか、それとも「細菌」なのかを見極めることです

  • 大部分は「ウイルス」が原因です 急性咽頭・扁桃炎の原因微生物の大部分はウイルスです 。最近では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)も、のどの痛みを主な症状として呈する病態へと変化しており、ウイルス感染を念頭に置いた診療が重要になっています 。
  • 細菌の場合は「溶連菌」に注意が必要です 細菌感染が原因となる場合、最も重要な原因菌は小児・成人ともに「A群溶血性連鎖球菌(溶連菌)」です 。この溶連菌は学童期の小児に頻度が高く、3歳未満の乳幼児では比較的まれとされています 。

検査と診断について

当院では、不要な検査や投薬を避けるため、以下の症状などを総合的に評価して溶連菌感染の可能性を判断します

  • 38℃以上の発熱があるか
  • 咳がないか
  • 首のリンパ節が腫れて痛むか
  • 扁桃に白いウミ(白苔)がついているか

これらの基準や年齢、日常生活への支障度(痛みの強さ)などを考慮し、必要に応じて迅速抗原検査などを行い、的確な診断に努めます 。症状が軽く溶連菌の可能性が低い場合は、検査を行わずに経過を観察することもあります

治療方針(抗菌薬の正しい使い方)

のどの痛みに対して「とりあえず抗生物質(抗菌薬)を飲めば治る」と思われがちですが、実はそうではありません。

  • ウイルス感染に抗菌薬は効きません 原因の大部分を占めるウイルスには、抗菌薬は無効です 。そのため、溶連菌が検出されていない急性咽頭炎・扁桃炎に対しては、原則として抗菌薬の投与は行わず、痛みを和らげるお薬などの対症療法を行います 。
  • 溶連菌と診断された場合の治療 検査で溶連菌が陽性となった場合は、速やかに抗菌薬による治療を行います 。
    • 第一選択薬は「アモキシシリン(ペニシリン系抗菌薬)」です 。
    • 服薬方法ですが、薬剤の添付文書上では250mgを1日3回服用するとありますが、ガイドライン上では、1000mgを一日1回、500mgを1日2回服用するとあります。服薬ミスが少なくなるので、私は500mgを1日2回で投与することが多いです。
    • 完全に菌をやっつけるため、原則として「10日間」しっかりと飲み切っていただくことが重要です 。
    • ペニシリンアレルギーがある場合や、治療効果が不十分な場合、また成人の重症例などでは、セフェム系などの別の抗菌薬を選択することも考慮します 。
  • 腎臓の機能に障害を起こすことがまれにあるとされています。のどの痛みがありますが、水分を摂取するように心がけましょう。

参考文献

  1. Shulman, Stanford T., Alan L. Bisno, Herbert W. Clegg, ほか. 「Clinical Practice Guideline for the Diagnosis and Management of Group A Streptococcal Pharyngitis: 2012 Update by the Infectious Diseases Society of America」. Clinical Infectious Diseases 55, 号 10 (2012年): e86–102. https://doi.org/10.1093/cid/cis629.
  2. 気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言(改訂版)

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